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雑草を利用したハーブ塩

ハーブ塩というと特別なもののように思われるも知れませんが、実は身の回りの雑草を利用して簡単に作ることができます。日本では昔からハコベ塩といって、ハコベを乾燥させて細かく砕き、塩と同じくらいの分量で混ぜたものを利用してきた文化があります。  



この塩はとても美味しばかりでなく、ミネラル分を多く含み減塩効果も期待できます。ハコベ塩は、昔は歯磨きにも利用されていました。抗菌、歯槽膿漏の予防、口臭予防などの効果があるとされています。実際に磨いてみましたが、口の中が驚くほどすっきりします。
 
更に、これらの塩は料理にも最適です。スタンダードなところでは天ぷら、ステーキなどの肉料理の付け塩などがありますが、おにぎりの表面にまぶしても色合いがきれいで、美味しいおにぎりになります。  

更に、私はタコヤキのソース代わりにこの塩を付けて食べています。意外な組み合わせですが、とても相性がいいです。ハコベ以外にもスギナ、カキドオシ、ヨモギなど身近な植物を利用してハーブ塩を作ることができます。是非お試しください。
自然の伝道師

サルトリイバラの薬効


サルトリイバラが実をたくさん付けていました。サルトリイバラには解熱作用、下痢止めなどの様々な薬効あるとされており、昔、体調を崩した人が山に入りこの実を食べて帰ってくるという利用されていたということから別名、山帰来と呼ばれています。

葉っぱにも薬効がありお茶として飲むことができます。また、地域によってはこの葉を柏の葉のようにして食べ物を包むのに利用しています。身近な場所にたくさん自生しているサルトリイバラ。トゲはありますが昔から様々な形で人々に利用されてきた植物です。

トゲのある厄介ものとしてではなく、美しい実とともに少し目を向けてあげてください。

自然の伝道師

おがくずの不思議

おがくずで育てる、守る

私は子供の頃カブトムシが好きで、おがくずを利用してカブトムシを飼育していました。オガクズを入れるとカブトムシはおがくずの中に潜り気持ちよさそうにしていたのを思い出します。本来カブトムシは腐葉土で生育するのですが、おがくずでも水分などをきちんと与えることで飼育できたことを思い出します。  

エビやカニを生きたまま運搬するのにおがくずが活用されます。おがくずには保温、保湿効果の他、クッション材などの効果があるとされています。木材には水分を出し入れして、周辺の湿度を調整してくれる効果があることが知られています。

木を細かく削った繊維であるおがくずは、薄く削られているため木の持つ様々な効果が凝縮された形にあるともいえます。抗菌性、調湿性などに優れ生物を包み込むクッション材であり、本来腐葉土で暮らすカブトムシや水の中で暮らすエビやカニが生きていくことができるのではないかと思います。  

おがくずで分解する

バイオトイレというトイレがあります。トイレの中におがくずを入れて、微生物を投入して便や生ゴミを分解するものです。便や生ゴミの大半は水分であり、おがくずがそれらの水分を吸収して、残った有機物を微生物が分解するというものですが、トイレの汚物が無くなる状況はまさにオガクズと微生物が起こす軌跡です。  

おがくずを食べる

先日「木を食べる」という本を読みました。この本の著者は製材所の香りの良いおがくずを見て、昔カツオ節を削って作った削り節を思いだし、おがくずが食べられるのではないかと思い立って、その後様々な工夫をしておが粉をパウダーにして食品に混ぜて食べるまでが描かれています。  

基本的に木を構成するセルロースは、通常の形態では人の消化酵素では分解することはできないとされていますが、微粉末にすることで腸内で分解され、エネルギーとして利用することができるとされています。  更に、植物繊維は肥満予防、便秘予防、ガン予防など様々な効果があるとされています。  

浜松市では、ある鉄鋼屋さんが竹を微粉末にして食品や家畜のエサ、土壌改良材などに利用しています。竹は多孔室で材の中には糖分やミネラルが豊富に含まれています。更に糖分や、ケイ酸、ミネラルなどの栄養素にも優れており、嫌気状態を保つことにより細胞組織内の乳酸菌が発酵することが知られています。乳酸菌は土中で善玉菌を活性化させ、腐敗菌や病原菌などの悪玉菌を抑制します。  

多くの農薬や化学肥料が使用されている農業、防腐材、消臭材などが大量に使用される日常生活の中で、今後オガクズや竹、樹木の粉が活躍する時代が再び訪れることを期待しています。
自然の伝道師

自然の恵みを頂く薬草茶

中山間地は薬草の宝庫

私は最近、身近かな植物の葉っぱを乾燥させてお茶にして飲んでいます。  少し見回してみると、身近な場所に驚くほどたくさんの薬草が生えています。  最近私がはまっているのは、クロモジ茶です。  

クロモジは中山間地ですと、林床にごく普通に生育している植物で、若い青い枝に黒く文字を書いたような斑紋がでることからこの名があります。  枝葉にはとても気持ちの良い芳香があり、抗菌性もあることから高級な爪楊枝の原料として用いられてきました。  

また、以前は山で採ったクロモジから精油を採取してヨーロッパに輸出し、高級なアロマオイルの原料として利用されていたこともあります。  この葉っぱを山で採ってきて、干しシイタケなどを作る網籠に入れて2~3日干すだけでおいしいクロモジ茶を作ることができます。  

クロモジ茶の淹れ方と効果

飲む前に葉っぱを少しフライパンであぶって、お湯で5分間ほど煮出すと素晴らしい香りが湯気とともに上がってきます。  味も素晴らしく、とても自然に生えている木の葉っぱを使って作ったとは思えない味で、まさに天然のハーブティーです。  

クロモジにはリラックス効果のほか、血行を促進し、冷え症の改善にも役立つとされ、更に胃腸の調子を整えるなどの整腸作用もあるとされています。  また、クロモジの枝にもとても良い芳香があり、枝を束ねてお風呂に入れると天然の入浴剤として利用することができます。  さわやかな香りが1日の疲れを癒してくれます。更に、クロモジの抗菌力は肌のトラブルにも効果があるとされています。  

クロモジのほかにも、ヨモギ、カキドオシ、アマチャヅル、ササ、ビワの葉など様々な植物の葉っぱでお茶を作ることができます。  これらの葉っぱをブレンドすることで、自分独自のオリジナルハーブティを作ることもできます。  無農薬でおいしく、薬効のあるお茶をただで楽しむことができるのです。

みなさんも是非お試しください。

終りなき植物と動物の戦い

皆さんの中にもイネ科やスゲ科など、硬くて葉先の鋭い植物で手を切った経験がある方がいるのではないかと思います。植物の葉っぱなのにどうしてこんなに硬いのでしょうか。


葉っぱが硬いのには理由があります。イネ科植物の葉は、生長が早く栄養もあるため、ウシやシカといった草食動物の貴重な餌となっています。動物にとっては、栄養のある餌がどんどん生長してくれるのは有難いことですが、植物の側からするとたまったものではありません。片っ端から食べられてしまったのでは種を残していくことはできません。

しかし、イネ科の植物にはバラ科の植物のようにトゲで食べられるのを防ぐことはできません。そこで、イネ科の植物は土の中のケイ素を多く吸収し、葉っぱを硬くすることに成功しました。ケイ素はガラスの原料にも使われる鉱物で、植物にとって栄養素としてはそれほど役に立っておらず、主に葉っぱなどを硬くするために吸収されているのではないかと言われています。  

しかし、草食動物はこれに対抗する手段を身に付けました。それが反芻という仕組みです。消化の悪いイネ科の雑草を四つの胃と微生物の力で消化するという離れ業です。  この仕組みによって、草食動物は硬いイネ科植物を餌とすることに成功したのです。

しかし、イネ科植物もこのままでは絶滅してしまいます。このため、イネ科植物は生長点を低くすることによって、食べられてもすぐに再生できるという術を手に入れました。  このようなお互いの仕組みによって、現在は均衡が保たれた状態となっています。

しかし、このイネ科植物の生長点が低いという特性が人間にとっては厄介なものとなっています。  農業をやられている方なら、水田の周りなどで草を刈ってもすぐに伸びてしまうという経験をお持ちの方も多いのではないかと思います。これは、イネ科植物のこのような性質によるものです。

更に厄介なことに、水田のイネと畦などに生えるイネ科植物は同じ科の植物であるために害虫も共通しています。  畦などの草を低く刈ることによって、畦の草の多くはイネ科植物となってしまい、結果としてイネに害虫が付きやすい状況となってしまいます。

イネ科植物が畦に増えるのを防ぐには、地上から15cm程度の高さで草を刈るのがいいと言われています。  多様な草が生え、イネの害虫が少なくなるほか、害虫の天敵も増え結果として農薬の散布回数を減らすことができる可能性もあります。一度お試しください。  
さて、イネ科植物の硬くなった葉を巧みに利用してきた動物が草食動物のほかにもいることをご存じですか、それは人間です。  茅葺屋根などの材料はススキなどのイネ科植物が利用されています。ススキは葉のほかに茎にもケイ酸が多く含まれていて、軽いのに硬くて丈夫、腐り難くく、水をはじき、茎の中が中空になっているので断熱性にも富んでいます。  

こんな植物の特性を巧みに利用した私たちのご先祖様の知恵には頭が下がります。

自然の伝道師

クズの可能性、バイオ燃料の原料へ

クズという植物の名前を一度は耳にしたことがあるのではないかと思います。クズ粉、クズ餅などの原料として用いられ、秋の七草として古くから人々に親しまれてきた植物の一つです。  

しかし、このクズが今その名のとおり邪魔な雑草として問題となっています。クズは非常に繁殖力が強く、油断しているとあっという間に植物を覆い尽くし、時には樹木をも枯らしてしまいます。この繁殖力の強さと、蔓が絡まって植物を覆いつくす見た目の悪さから、まさに植物の屑といった扱いを受けています。  

樹木を覆うクズ

しかし、このクズはクズ粉、葛根湯の原料となる薬草、若葉は山菜に、ツルは葛布など繊維の原料として捨てる場所が無いくらい大切に利用され、人々の生活に無くてはならない植物の一つでした。  

今でも一部このような利用は行われていますが、手間がかかることから現在では利用されることは希な状況です。現在、クズ粉やクズ餅として販売されているものの多くも、実際にはジャガイモなどを原料として作られるものが多くなっています。  

しかし、このクズが再び脚光を浴びようとしています。それは、バイオ燃料としての利用です。クズの根は良質なデンプンを多く含み、高濃度のアルコールが生成できることが近年の研究で明らかとなり、バイオ燃料の原料として注目を集めています。  

場所を選ばずどんな環境にでも適応できる繁殖力は、火山噴火後に植生が無くなってしまった場所の植生回復に用いられるほどで、この逞しい繁殖力を燃料として利用することができれば、将来的には持続可能エネルギーとして利用される日を遠くないことかもしれません。  

以前は人々のそばで様々な形で利用され、秋の七草として親しまれてきたクズ、一時は人々に見放されてその名の通り屑のような扱いを受けてしまったクズ、そんなクズが再び脚光を浴びようとしていることは喜ばしいことです。  

昔は一家の大黒柱として期待され、子供たちにもしたわれたお父さん、その後だんだんと居場所を無くし、家庭内で粗大ゴミのような扱いを受けているお父さんにも、いつか再び脚光を浴びる日がくることを私は願っています。
自然の伝道師

ジャパンブルー

日本代表の色というと、サッカーのイメージが強く青という印象があります。 でも、何故青なんでしょうか。日の丸など国旗からくる印象では日本の色は赤若しくは、赤と白の方が自然なのではと思う方も多いのではないでしょうか。   

事実バレーや卓球、体操などの代表ユニホームは赤を基調としたものですし、日本代表のサッカーチームも以前は赤を基調としたユニホームを使用していた時代もあります。  ネットなどで調べてみてもはっきりとした回答はでていません。  しかし、サッカーの日本代表が有名になるかなり以前から、ジャパンブルーとして世界に知られた青があります。

それは日本の草木染めの代表である「藍」です。

藍の英名はJapan blueです。私は藍こそが日本が世界に誇るジャパンブルーだと思っています。 藍染め自体はかなり古い時代にはシルクロードを通って、日本へと伝わってきたものであると言われています。そして平安時代には藍が広く栽培され、利用されていたと言われており、正倉院の宝物の中には、藍染めされた布や糸がいくつも納められています。

藍は抗菌力が強く、糸を強くする効果があるとされています。藍染めの手ぬぐいは雑菌の繁殖を抑えるとともに丈夫、手ぬぐいとして優れた機能を有しています。 また、怪我をした時などは藍染めの手ぬぐいを傷口に巻くことによって、菌の繁殖を抑えてくれます。高温、多湿となり菌が繁殖しやすい日本の環境では藍が広く人々の生活に浸透し、本来は日本の染め物ではなかった藍がジャパンブルーと呼ばれるまで人々に広まったのではないかと思います。

また、女性の腰巻きには茜を腰巻に利用することが多かったようです。実は茜は現在でも婦人病に効果のある漢方薬として利用されており、婦人の腰巻きとして利用することは、非常に合理的で適した使い方だったのではないかと思います。  

一万種を超える植物の中から、それぞれの用途に合った使い方を見つけ出した昔の人たちの知恵には頭が下がります。そして、今これらの優れた知恵が失われようとしています。今一度古くから受け継がれてきた大切な知恵を見直し、私たちが受け継いでいく必要があるのではないかと思います。

雑草で美肌、アンチエイジング







 

ハーブについて意外と知られていないこと

みなさんは雑草で美肌というと、本当にそんなことができるのかと少し疑われるかも知れません。でも、ハーブやアロマで美肌という話しをすると効果を期待し、中には高いお金を払っている人もいるのではないかと思います。  

それではハーブとはいったいなんなのでしょうか。

ハーブとはそもそも草を意味するラテン語で、そのへんに生えている草の総称です。また、現在ではこれらの草のうち臭いや薬効など人に利用される植物を総称してハーブと呼んでおり、特に細かな定義のあるものではありません。

植物は何気なく生えているように見えますが、紫外線や酸化、細菌、乾燥、細胞の老化など生き抜くために様々な敵と戦っています。そして、これらの敵は実は女性の肌の敵と重なる部分が多くあります。動物と植物の違いはあれど外敵から身を守る仕組みには共通した部分も多く、昔から女性はこの植物の働きに注目し、美を保つために利用してきました。 

ハーブの利用は紀元前から行われていたと言われています。そして、これらのハーブの多くは雑草です。西洋の雑草であったり、東洋の雑草であることもあります。ハーブとして難しそうな名前で呼ばれるため、いかにも効果がありそうな特別な植物のような気がしますが、実は多くの植物がこのような効果を有しているのです。  

身近な雑草の効果

例えば、イブニングプリムローズというハーブは美肌、美爪、高血圧の予防など種々の効果が知られています。この名前を聞くといかにも高級そうな名前ですが、実は日本各地で大発生して問題となっているメマツヨイグサという植物で、各地の荒れ地に生育しています。  

また、畑の強雑草で駆除に苦労しているスギナ(ツクシ)も実はハーブの一種です。スギナは風邪の治療薬として利用されるほか、肌荒れの解消などの効果もあるとされています。 このほか、ゴールデンライオンというハーブには健胃、肝機能の向上、利尿、冷え症の解消などの効果があるとされていますが、実は西洋タンポポのことでそこらじゅうに生育していて、在来のタンポポの生育を脅かしている種です。

近年では身近な野草のヨモギの美肌効果にも注目が集まっています。身近なところに様々なハーブと呼ばれる植物が生育しています。これを利用せずに高い薬やハーブを購入するのはもったいないような気がします。  

あなたの身の周りの様々な植物に少し目を向けてみてください。きっとそこにはあなたの美貌を保つのに役立つ植物がたくさん生育しているのに気が付くと思います。

ただし、植物には毒草など危険な植物もありますので、利用する際には十分注意して利用してください。

自然の伝道師

自然の力を着る

草木染め

日本をはじめ世界各地で衣服を草木から出る染色液で染めるという行為が行われてきました。 もちろん染めることによって、生地が美しくなるという効果もありますし、生地が水をはじいたり、丈夫になるという効果も期待できます。 しかし、草木染めにはそれ以上に様々な効果があり、合理的で優れた衣料であるといえます。

草木染めに使われている植物の多くは、薬草として利用されている植物です。これらの植物には抗菌、消臭、抗酸化、防虫効果があり、衣服としては汗の臭いを抑え、細菌の繁殖を抑制するなど優れた効果を有しています。 更に、これらの植物には精神状態を落ち着かせる鎮静効果のあることも知られています。

植物の中に着色効果のある植物は多くありますが、藍染め、紅染め、ムラサキなどの主要な染料はそれぞれ優れた薬効のある植物であり、様々な染料の中から本当に優れた効果を持つ染料だけが残されてきたものと思われます。

ジーパンに使われている染料のインディゴは藍染めとほぼ同じ成分であると言われています。藍には防虫効果もあり、開拓地で使われる染料としては優れた効果があると言えます。ただ、昔都市伝説のように言われていたジーパンを着ているとガラガラヘビに咬まれなくなると言う話しがありますが、実際にはこのような効果は無いそうです。

しかし、ジーパンは丈夫で、抗菌や防虫などの効果があったものと思われ、開拓地で使われる衣料としては優れた衣服であったと思われます。日本でも職人に愛されてきた藍染め、いいものは世界共通です。



自然の伝道師

本当にすごい植物の力 その2

なぜ昔の人は植物の力を活かせたのか?


前回ではなぜ植物が力を身につけたのかを書きました。
しかし、本当にすごいのはこれらの植物を適切に利用してきた昔の人たちの知恵です。今でこそ化学的な分析が進み、植物の中に含まれる成分がこの病気に効果があるということが証明されるようになってきましたが、昔の人たちは感覚的にそのことを知っていて、
この植物のこの成分はお腹をこわした時に効くであるとか、
熱をだしたときにはこの植物の葉を煎じて飲むといいといったように、
植物の種類だけでなく特定の部位に有効な成分が含まれていることを理解して利用していたことは本当に驚きです。

人間を含む動物類は、実は本当に体に必要な成分を見抜く力が備わっており、人間を含む動物類は五感を使ってこれらを見抜く力が備わっているのではないかと思います。
ですから、化学的分析ができない時代から植物の中に含まれている体に必要な成分を見抜いて利用することができたのではないかと思います。

更に、人間は薬効だけでは無く植物に含まれている成分を様々な形で利用してきました。

例えば抗菌性のあるササの葉で食品を包むであるとか、
抗菌・芳香性のあるクロモジを爪楊枝として利用する。
サシミの横に抗菌性のあるヒノキの葉を添える、
腐敗しやすいカマボコ板に調湿性・抗菌性のあるモミの板を使用するなど古くから人々は植物の特性を理解して様々な形で利用してきました。

みなさんは、イヌが時折り青い草を食べて余分なものを吐き出す行動を目にしたことがあるのではないかと思います。実はこうした体に必要な成分を見抜く力は人間だけではなく、他の動物類にも備わっていることが分かっています。

チンパンジーなどのサルの仲間はお腹の調子が悪い時に、特定の薬効成分が含まれる草を食べることが知られています。また、猛禽類のタカは生の肉を巣に持ち込んで雛に与えます。生肉を巣に持ち込むため、雛は常に細菌の汚染にさらされています。クマタカやオオタカなどのタカの仲間は巣材の下に抗菌性のあるモミ、マツ、ヒノキなどの青葉を巣材の下に敷き、雛が細菌から汚染されることを本能的に防いでいます。

このように、人間を含む動物は実は本当に必要なものを五感で感じて見抜く能力を備えています。様々な情報や化学物質が溢れている現在、私たち人間の本来備わっているこのような優れた能力が少し衰えてきているのかもしれません。   

しかし、なにが本当に必要なものかを見抜く力は私たちには残されているような気がします。私たちは体調が少し悪い時に急にある特定の食べ物が食べたくなったり、反対にこの食べ物は食べたくないと感じることがあります。

また、理由は分からないけども特定の場所にいると妙に気持ちが良いだとか、反対になんとなく落ち着かないといったこともあるのではないかと思います。

家づくりを考えている方は一度、住宅展示場や現場見学会に行かれたときに、目をとじて静かにあなたの五感で感じてみてください。あなたの五感の奥底で、本物の素晴らしさを実感できる場所を意識して探してみてください。

本当にすごい植物の力 その1

なぜ植物に力があるのか?

植物にすごい力があるというと本当に植物にそんな力があるのかと思う人がいるかもしれません。でも、本当に植物にはすごい力が秘められているのです。そして、私たち人間はその植物のすごい力を理解し、古くから植物の力を暮らしの中に取り入れてきました。

現代においても私たちは知らないところで植物の助けを得て生活しています。その代表格が病気を治す医薬品です。現在市販されている薬の9割近くが実は植物由来の成分を化学的に合成したものであると言われています。

有名なところでは、熱を下げるときに利用されるアスピリンがあります。アスピリンはヤナギの樹皮の成分を基に生成したものです。また、ミズメという樹木は別名サロメチールの木と呼ばれ、ミズメの主成分であるサロメチールを化学的に合成したものがサロンパスなどの消炎薬として利用されています。

また、クスノキから抽出される成分は古くから防虫剤やカンフル剤として利用されてきましたし、ニンニクの主成分であるアロインから栄養剤のアリナミンが作られるなど植物の力は私たちの知らないところで様々な形で利用されています。

それでは、なぜ植物にこのような力があるのでしょうか。


植物は動物と違って動くことができず、傷つけられても、細菌に感染しても洗い流したり、菌の多い場所から逃げ出すことができません。でも、植物も人間と同じように細菌に感染すると病気になって枯れてしまいます。農作物が良く病気で枯れてしまったり、害虫に食べられてしまったりするのはみなさんもご存じのことかと思います。

でも自然に生育している植物の多くは細菌などの影響を受けず健全に生育しています。自然に生育している植物が細菌などの影響を受けずに生育しているのには秘密があります。

地上に芽を出し生育している植物は実は熾烈な競争を勝ち抜いた特別な植物なのです。地中には非常に多くの植物の種子が存在しており、その競争の中を勝ち抜いた種子だけが競争を勝ち抜いて地上に芽を出すことができます。

更に芽を出したあとも、植物には他の植物との養分や水分、日照を巡る競争が繰り広げられています。植物は静かにその場所に生育しているようにみえて、実は熾烈な競争が繰り広げられているのです。

植物はこれらの植物との戦いに加えて、細菌や害虫、獣害など様々な敵と戦っています。ただ、植物はこれらの敵に対してただだまって生育しているのではありません。植物はこれらの敵と戦うための武器を体の中に持っています。これらの成分が実は薬草として利用されているのです。

植物は細菌や害虫などと戦うために体の中に様々な物質を生成し、これらの敵と戦っています。植物も人間も同じ生物であり、細菌などと戦うために植物内で生成されている成分は人間に対しても有効であり、これらの成分が生薬や漢方薬として利用されているのです。

植物が紫外線が苦手というと不思議に思う人もいるかもしれませんが、実は紫外線はほとんどの生きた細胞に対して有害であり、われわれ人間に有害であるように植物の細胞に対しても有害なのです。

植物は多くの日光を受けて光合成を行う必要がある状況のなかで、紫外線を防除する必要があり、このような仕組みが現在の紫外線防除の仕組みにも応用されています。

このつづきは、↓
なぜ昔の人は植物の力を活かせたのか?

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