なぜ植物に力があるのか?
植物にすごい力があるというと本当に植物にそんな力があるのかと思う人がいるかもしれません。でも、本当に植物にはすごい力が秘められているのです。そして、私たち人間はその植物のすごい力を理解し、古くから植物の力を暮らしの中に取り入れてきました。現代においても私たちは知らないところで植物の助けを得て生活しています。その代表格が病気を治す医薬品です。現在市販されている薬の9割近くが実は植物由来の成分を化学的に合成したものであると言われています。
有名なところでは、熱を下げるときに利用されるアスピリンがあります。アスピリンはヤナギの樹皮の成分を基に生成したものです。また、ミズメという樹木は別名サロメチールの木と呼ばれ、ミズメの主成分であるサロメチールを化学的に合成したものがサロンパスなどの消炎薬として利用されています。
また、クスノキから抽出される成分は古くから防虫剤やカンフル剤として利用されてきましたし、ニンニクの主成分であるアロインから栄養剤のアリナミンが作られるなど植物の力は私たちの知らないところで様々な形で利用されています。
それでは、なぜ植物にこのような力があるのでしょうか。
植物は動物と違って動くことができず、傷つけられても、細菌に感染しても洗い流したり、菌の多い場所から逃げ出すことができません。でも、植物も人間と同じように細菌に感染すると病気になって枯れてしまいます。農作物が良く病気で枯れてしまったり、害虫に食べられてしまったりするのはみなさんもご存じのことかと思います。
でも自然に生育している植物の多くは細菌などの影響を受けず健全に生育しています。自然に生育している植物が細菌などの影響を受けずに生育しているのには秘密があります。
地上に芽を出し生育している植物は実は熾烈な競争を勝ち抜いた特別な植物なのです。地中には非常に多くの植物の種子が存在しており、その競争の中を勝ち抜いた種子だけが競争を勝ち抜いて地上に芽を出すことができます。
更に芽を出したあとも、植物には他の植物との養分や水分、日照を巡る競争が繰り広げられています。植物は静かにその場所に生育しているようにみえて、実は熾烈な競争が繰り広げられているのです。
植物はこれらの植物との戦いに加えて、細菌や害虫、獣害など様々な敵と戦っています。ただ、植物はこれらの敵に対してただだまって生育しているのではありません。植物はこれらの敵と戦うための武器を体の中に持っています。これらの成分が実は薬草として利用されているのです。
植物は細菌や害虫などと戦うために体の中に様々な物質を生成し、これらの敵と戦っています。植物も人間も同じ生物であり、細菌などと戦うために植物内で生成されている成分は人間に対しても有効であり、これらの成分が生薬や漢方薬として利用されているのです。
植物が紫外線が苦手というと不思議に思う人もいるかもしれませんが、実は紫外線はほとんどの生きた細胞に対して有害であり、われわれ人間に有害であるように植物の細胞に対しても有害なのです。
植物は多くの日光を受けて光合成を行う必要がある状況のなかで、紫外線を防除する必要があり、このような仕組みが現在の紫外線防除の仕組みにも応用されています。
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なぜ昔の人は植物の力を活かせたのか?