昔の日本の里山は人と自然が密接していた
良く昔は自然がたくさんあって良かったのに、今はどんどん自然が失われていくという言葉を耳にします。この昔とはいったいいつ頃のことなのでしょうか。そして、昔の自然は本当に豊かだったのでしょうか。実は昔の日本の里山は、今と比べるとあまり自然が豊かではなかったのではないかと言われています。今と比べると開発は進んでおらず、山も自然の状態で残されていたはずなのに、何故自然は豊かではなかったのでしょうか。
それは、人々が自然と密接な暮らしをしていて、山の様々な植物を生活に利用していたためだと言われています。山菜はもちろん、薬草や繊維、燃料など人々はあらゆる植物を生活の中で利用してきました。林の下の落ち葉までかき集めて利用したため、山の土は痩せてしまい里山周辺はアカマツを中心とした痩せた樹林地であったと言われています。私たちのご先祖様というよりも、長生きしているおじいさんくらいの世代まで、里山で生きる人たちは自然と密接に結び付いた暮らしをしてきました。
私の住む引佐町も、以前はシカやサルなどがあまり見られなかった時代があります。里山周辺には餌が無く、またうかつに里山に近寄ると捕まって食べられてしまうなどの危険もあったためだと思われます。
今の里山の方が昔よりも自然が豊かでは?
しかし、近年の里山は農作物のほか耕作放棄地などに餌となる植物が豊富で、多くの動物たちが里山に集まってくるようになりました。ある意味今の里山の方が昔よりも自然が豊かなのかもしれません。そして、動物たちが里山に集まってくるようになった理由はもう一つあります。それは、森林が放置されたことによって、奥山と言われる環境に動物の餌が無くなってしまったためです。 山奥でのどかに暮らしていた動物たちの住みかを戦後の拡大造林で奪い、山奥から里山に降りてきた動物たちを有害獣だと駆除してしまう。本当の意味で動物と人間が共存できる社会を目指すのであれば、今一度奥山を動物たちの暮らす自然豊かな山に戻し、里山は人間がきちんと管理し動物たちの餌を少なくすることで、自然に動物と人間が共存していくことができるような社会が作れるのではないかと思っています。
そして、里山は薬草をはじめ様々な魅力ある植物で溢れています。一昔前まで暮らしの中に取り入れられてきた知恵が失われてしまう前に、今一度里山の植物資源を見つめなおす時期にきているのではないかと思います。
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