おがくずで育てる、守る
私は子供の頃カブトムシが好きで、おがくずを利用してカブトムシを飼育していました。オガクズを入れるとカブトムシはおがくずの中に潜り気持ちよさそうにしていたのを思い出します。本来カブトムシは腐葉土で生育するのですが、おがくずでも水分などをきちんと与えることで飼育できたことを思い出します。エビやカニを生きたまま運搬するのにおがくずが活用されます。おがくずには保温、保湿効果の他、クッション材などの効果があるとされています。木材には水分を出し入れして、周辺の湿度を調整してくれる効果があることが知られています。
木を細かく削った繊維であるおがくずは、薄く削られているため木の持つ様々な効果が凝縮された形にあるともいえます。抗菌性、調湿性などに優れ生物を包み込むクッション材であり、本来腐葉土で暮らすカブトムシや水の中で暮らすエビやカニが生きていくことができるのではないかと思います。
おがくずで分解する
バイオトイレというトイレがあります。トイレの中におがくずを入れて、微生物を投入して便や生ゴミを分解するものです。便や生ゴミの大半は水分であり、おがくずがそれらの水分を吸収して、残った有機物を微生物が分解するというものですが、トイレの汚物が無くなる状況はまさにオガクズと微生物が起こす軌跡です。おがくずを食べる
先日「木を食べる」という本を読みました。この本の著者は製材所の香りの良いおがくずを見て、昔カツオ節を削って作った削り節を思いだし、おがくずが食べられるのではないかと思い立って、その後様々な工夫をしておが粉をパウダーにして食品に混ぜて食べるまでが描かれています。基本的に木を構成するセルロースは、通常の形態では人の消化酵素では分解することはできないとされていますが、微粉末にすることで腸内で分解され、エネルギーとして利用することができるとされています。 更に、植物繊維は肥満予防、便秘予防、ガン予防など様々な効果があるとされています。
浜松市では、ある鉄鋼屋さんが竹を微粉末にして食品や家畜のエサ、土壌改良材などに利用しています。竹は多孔室で材の中には糖分やミネラルが豊富に含まれています。更に糖分や、ケイ酸、ミネラルなどの栄養素にも優れており、嫌気状態を保つことにより細胞組織内の乳酸菌が発酵することが知られています。乳酸菌は土中で善玉菌を活性化させ、腐敗菌や病原菌などの悪玉菌を抑制します。
多くの農薬や化学肥料が使用されている農業、防腐材、消臭材などが大量に使用される日常生活の中で、今後オガクズや竹、樹木の粉が活躍する時代が再び訪れることを期待しています。
自然の伝道師
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