なぜ昔の人は植物の力を活かせたのか?
前回ではなぜ植物が力を身につけたのかを書きました。
しかし、本当にすごいのはこれらの植物を適切に利用してきた昔の人たちの知恵です。今でこそ化学的な分析が進み、植物の中に含まれる成分がこの病気に効果があるということが証明されるようになってきましたが、昔の人たちは感覚的にそのことを知っていて、
この植物のこの成分はお腹をこわした時に効くであるとか、
熱をだしたときにはこの植物の葉を煎じて飲むといいといったように、
植物の種類だけでなく特定の部位に有効な成分が含まれていることを理解して利用していたことは本当に驚きです。
人間を含む動物類は、実は本当に体に必要な成分を見抜く力が備わっており、人間を含む動物類は五感を使ってこれらを見抜く力が備わっているのではないかと思います。
ですから、化学的分析ができない時代から植物の中に含まれている体に必要な成分を見抜いて利用することができたのではないかと思います。
更に、人間は薬効だけでは無く植物に含まれている成分を様々な形で利用してきました。
例えば抗菌性のあるササの葉で食品を包むであるとか、
抗菌・芳香性のあるクロモジを爪楊枝として利用する。
サシミの横に抗菌性のあるヒノキの葉を添える、
腐敗しやすいカマボコ板に調湿性・抗菌性のあるモミの板を使用するなど古くから人々は植物の特性を理解して様々な形で利用してきました。
みなさんは、イヌが時折り青い草を食べて余分なものを吐き出す行動を目にしたことがあるのではないかと思います。実はこうした体に必要な成分を見抜く力は人間だけではなく、他の動物類にも備わっていることが分かっています。
チンパンジーなどのサルの仲間はお腹の調子が悪い時に、特定の薬効成分が含まれる草を食べることが知られています。また、猛禽類のタカは生の肉を巣に持ち込んで雛に与えます。生肉を巣に持ち込むため、雛は常に細菌の汚染にさらされています。クマタカやオオタカなどのタカの仲間は巣材の下に抗菌性のあるモミ、マツ、ヒノキなどの青葉を巣材の下に敷き、雛が細菌から汚染されることを本能的に防いでいます。
このように、人間を含む動物は実は本当に必要なものを五感で感じて見抜く能力を備えています。様々な情報や化学物質が溢れている現在、私たち人間の本来備わっているこのような優れた能力が少し衰えてきているのかもしれません。
しかし、なにが本当に必要なものかを見抜く力は私たちには残されているような気がします。私たちは体調が少し悪い時に急にある特定の食べ物が食べたくなったり、反対にこの食べ物は食べたくないと感じることがあります。
また、理由は分からないけども特定の場所にいると妙に気持ちが良いだとか、反対になんとなく落ち着かないといったこともあるのではないかと思います。
家づくりを考えている方は一度、住宅展示場や現場見学会に行かれたときに、目をとじて静かにあなたの五感で感じてみてください。あなたの五感の奥底で、本物の素晴らしさを実感できる場所を意識して探してみてください。