逞しいモミの木



この林の下一面に生えている植物なんだか分かりますか、実はこの大半がモミの木です。

モミは陰樹といって、かなり暗く光の少ない場所でも生育することのできる樹種です。シイの木の仲間も陰樹ですが、スギ・ヒノキ植林地のように特に薄暗い森林ではモミの木が優占しているような気がします。

モミの木の稚樹は薄暗く他の植物の生育が困難な林床で発芽し、ひたすら上を覆っている植物が枯れたり、風や雪、雷などで倒れるのを待っているのです。林床環境は光が少ないということだけで無く、湿った薄暗い環境であることから、細菌やカビ、そして害虫などの影響を受けやすい非常に厳しい環境です。

モミの木はこのように非常に厳しい環境を生き抜くために、体のなかに様々な精油成分を蓄えて様々な外敵と戦っているのです。そして、ひたすら上を覆っている樹木が倒れるのを待っています。

上を覆っている樹木が倒れた瞬間、他の樹木を圧倒するスピードで生長し、上を覆っている植物を追い抜いて、大木へと生長します。

身近な林を見ると、スギ林の上に大きく頭を出しているモミの木を見ることができます。林の中にできた僅かな隙間を見つけてモミの木は逞しく生きています。  

私も家庭という暗い林の中で脂肪とアルコールという精油成分を蓄え、いつかモミの木のように日の当たる場所に出られることを夢みてじっと耐え忍ぶ毎日です。

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