食品への異物混入について思うこと

安全意識が高まったきっかけ

最近食品異物に関する報道が連日行われ、食品の安全に対する不安が高まっています。私は以前食品に混入した異物を調査する仕事を行っていました。20年ぐらい前のことですが年間100件程度の異物を調べていました。

その当時と比べると食品工場の衛生状態は画期的に改善されています。以前は有名な大手食品メーカーの工場でもゴキブリやネズミがそこらじゅうにいる状態でしたが、今このような工場はほとんど無くなっています。

食品の安全に対する意識が高まり、一つの異物の混入が企業の存続に係るようになってきたからだと思います。そしてそのきっかけとなったのが、不二家の問題だったのではないかと思います。

コンビニが食品工場を変えた

そしてもう一つ、食品工場の衛生状態を画期的に改善したのがコンビニです。コンビニでの食品の販売量が増えるにつれて、食品工場ではコンビニ対応の生産体制へとシフトしていきました。

それまでは1日1回の生産と納入で良かった弁当、パン、惣菜の生産をコンビニに対応するために24時間の生産体制とし、1日2~3回程度の出荷を行う必要がでてきました。しかし、工場の稼働時間を延ばし、出荷回数を増やしたところで売り上げが2~3倍に増えるわけではありません。また、食品の値段を上げることもできず、各食品会社は非常に厳しい経営環境の中で食品の生産を行っています。

コンビニに食品を納入するためには、非常に厳しいコンビニの衛生検査をクリアする必要がありますし、コンビニでは各食品工場に対して定期的に工場検査を行っています。

コンビニでの食品販売量は大きく、食品工場の衛生環境は画期的に改善されていきました。ただ、食品の生産は手作業に頼る部分も多く完全に異物を無くすのは困難であると思われますが、衛生環境は確実に改善されている状況です。

そしてもう一つ、食品異物の問題として見逃せないのが、家庭や流通の段階での混入です。家庭で食品を保管している間に虫やビニール片が入ってしまうことは良くありますし、歯のかけらや詰め物が異物として持ち込まれることもあります。

このほか、食品害虫の多くは食品の包装容器に孔をあける力を持っています。これらの昆虫は小さくて目立たないのですが、実は一般家庭にも普通に生息していて、未開封の食品の中に昆虫が入っていて異物として持ちこまれる場合もあります。

食品工場は厳しい環境の中で頑張っています。一時的な問題で食品業界全体が問題視されるのは残念なことです。

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