日本の農産物は本当に安全?

海外の安い農産物を見ると、日本の農産物は安全だが海外の農産物は心配だという言葉を耳にします。  はたして日本の農産物は本当に安全なのでしょうか。  以下の図は先進国の農薬使用量を示したものです。

先進国の農薬使用量

出典)宮崎大学農学部植物生産環境課IPM技術による病害虫防除技術

なんと、安全であると思われている日本の農産物の農薬使用量は、先進国の中で最も多くなっています。農薬使用量の多い理由として、狭い農地と日本人の生真面目な性格が災いしています。アメリカやオーストラリアなどで飛行機を使って農薬を散布する映像を目にすることがあると思います。しかし、飛行機で散布する程度ですから、実際には単位面積あたりの農薬の散布量は少なくなっています。  

また、海外では多少の虫食いや変形など見た目を気にしないケースも多いほか、農産物が加工品の原料として使用されることも多いので、ある程度の虫食いは許容される状況にあります。しかし、生真面目な日本人は見た目に厳格であるほか、害虫についても例え発生が無くても決められたとおりに散布してしまう傾向があります。

丁寧な草刈りが害虫を増やす

このことは草刈りについても同じ傾向にあります。日本では芸術的とも言えるほど低い位置できれいに草を刈り取る傾向があります。  

しかし、このような方法で草を刈り取ると、多年草で地下茎から素早く繁殖することのできるイネ科の雑草を増やしてしまい、かえって害虫被害を多くする結果となるケースもあります。

高草刈りによるイネ科雑草の抑制効果
出典)研究成果 害虫の発生を防ぐ畦畔管理1 

海外からの農産物に安全面でも及ばない

更に畜産物については、狭いゲージなどで集約的な飼育を行うために、感染症の予防や家畜の精神状態を落ち着かせるために大量の抗生物質が使用されています。現在国内では人間に使用される抗生物質の倍近い量が家畜に使用されています。  

このままでは、価格面で太刀打ちできない海外の農産物に対して、TPP実施後に安全面でも及ばないという結果を招きかねません。従来の管理方法を見直し、効率的で安全な農産物生産を考える時期にきているのではないかと思います。
自然の伝道師

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