街路灯のLED照明化について思うこと

LED化による生態系の影響

最近各地の防犯灯、道路照明、信号機のLED化が進められています。青色発光ダイオードのノーベル賞受賞もあってLEDの注目は益々高まっています。小電力で明るく、灯具の寿命も長いなどまさにいいことずくめのような感じがしますが、問題点は無いのでしょうか。  

私の専門は自然環境なのですが、街路灯のLED化についていくつか気になっていることがあります。  

自然のサイクルというのは、当然昼明るく夜暗いという太陽を中心とした日照サイクルによって形成されています。商業施設や工場、道路周辺など夜間強い照明を使用する場所では植物の結実阻害、昆虫の光に対する誘引、渡り鳥やウミガメなどへの影響も指摘されています

私の住んでいる地域は、ホタルの生息地として知られていますが、昨年ホタル生息地周辺の防犯灯がLED照明に変えられ、その後ホタルの光が確認でき無い時期がありました。所属しているNPO法人を通して自治会に相談したところ、ホタルの発生する時期だけ防犯灯にカバーを付けさせて頂くことになり、ホタルの発光を確認することができるようになりました。  

光のイメージこのような夜の明るさや強い光が人間の睡眠に影響を及ぼすことが知られています。寝る前に強い光を見ることによって睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップし、結果として睡眠が浅くなるなどして十分な睡眠を確保することができないことが問題となっています。人間を中心とした生態系は昼と夜が交互に繰り返されるというあたりまえの周期によって成り立っています。  

現在、日本各地で夜の暗さを大切にするという活動が行われています。私の住む浜松市でも夜の明るさを大切にするために「音・光・香り条例」が制定され、夜の明るさを大切にするために不必要な強い照明を制限することが定められています。  

もちろん、道路照明や防犯灯は必要な照明ですが、LEDという高性能の照明が今後生態系や照明灯が設置されている周辺に住んでいる住民に対してどのような影響を及ぼすのかはまだまだ未知の部分があります。  

夜を明るく照らす防犯灯は私たちの暮らしに安心を与えてくれていますが、本当の安心は暗い夜空の中にあるのかもしれません。

浜松市 音・かおり・光環境創造条例
自然の伝道師

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