カツオ節は毒物?EUが輸入を認めない理由 田中 淳夫 | 森林ジャーナリスト世界無形文化遺産にも登録された和食の象徴である出汁、そしてその出汁を支えてきたかつお節がこのような形でクローズアップされるのは衝撃的です。日本食の象徴であり、健康にも良いと思っていたかつお節が発癌物質を多く含み輸出できない、にわかには信じがたいできごとでした。
しかし、それではかつお節は本当に体に悪いのでしょうか?
実は私たちが体にいいと思って食べている食品の一部には発癌性を示す物質が多く含まれていることは以前から知られています。例えば山菜の代表格であるワラビにはブタキロサイドという発癌性物質が含まれていますし、フキノトウ、ミョウガなどにも発がん性物質が多く含まれていることが知られています。
これらの食品は体にいいとされ、長く人々に食べ続けられてきた食品です。 また、健康にいいと思って食べている無農薬野菜についても、無農薬にすることによって害虫への抵抗力を高める必要が生じ、野菜の体内に昆虫などに対抗するための発がん性のある増加するとも言われています。
実は薬と毒は紙一重で同じ物質であっても、使い方や量を間違えれば毒にもなるし薬にもなります。 そして、私たち人間は本能的にこれらのことを感じ、うまく使い分けながら利用してきたのです。私たちの体には本能的に体にいいもの、そして適切な量を判断する能力が備わっています。
毒にも薬にもなる物質についても、体の声を聞くことができれば体自身が適切な量を判断してくれるはずです。しかし、巷には様々な化学物質があふれ人間の本能を聞く声を殺してしまっているような気がします。
特に、私が今心配しているのは芳香剤です。
本来臭いというのは人間の感覚の中でも非常に重要な機能であり、食べ物の臭い、ガスの臭いなどを感じて生命を守る重要な役割を果たしていました。しかし、24時間芳香剤が香る服を身に付けていてはこのような感覚が失われてしまいますし、香りは直接脳の中枢である海馬に到達するため、芳香剤によって常に脳の中枢に異常な刺激が送られてしまうのではないかと心配しています。
そして、このことが、人間の本来持っている防御能力である本能をくるわせてしまい、本来体にいい成分を多く含んでいる食品であっても、適切な摂取量が見極められずに毒にしてしまうかもしれません。
本能を磨くには、できる限り人類がこれまで歩んできた自然から大きく離れない生活を送ることが重要ではないかと思っています。例えば時には携帯などを持たずただ山の中でゆっくりと時を過ごし、周囲の音や臭いを感じること。人間は本来厳しい自然環境の中で生き抜くために山の中で五感を研ぎ澄まし、音や臭いなど様々な情報を吸収して生き抜いてきたのではないかと思います。
そしてもう一つ、このような感覚を身に付けるうえで重要なのは私たちが毎日暮らしている家を自然素材の材料で作るということです。 合板やクロスなどの素材が家で使用されだしたのはせいせい50年以内のできごとです。そして、このような家が一時期普及したのち、今自然素材の家が見直されるようになってきています。
やはり私たちは感じているのではないかと思います。合板と無垢の素材ではどちらが本当にいいものなのかを、安価な合板が住宅市場からは衰退していき、天然の無垢の素材が見直される。 食品、家、そして人、自然の声に素直に耳を傾け、体全体で感じれば、きっと大切なもの、必要なものが見えてくるのではと思っています。
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