山や野原で遊ぼう
近年子供の骨折が増加していると言われています。私の子供は中学生のときは上の子が野球部、下の子がバレー部に所属していましたが、大会などの際、骨折して手や足にギブスを巻いた子が目立つような気がして気になっていました。
「学校の管理下の災害-基本統計-(独立行政法人日本スポーツ振興センター)」の調べでは、2011年度には40年前の約2.5倍程度、20年前の約1.5倍程度に骨折が増加しているとされています。気のせいではなく、子供の骨折は増加しているようです。骨折の増加については、食生活の変化や運動不足、日照不足など様々な要因が挙げられています。
私は子供を対象とした自然観察会を行うことがあるのですが、外で遊ぶ子供が減っているせいか、子供の体の使い方やバランスのとり方が下手になっているような気がします。
昔、山や野原で遊んだことのある人であれば分かると思いますが、山を走り回るのにもそれなりに技術と経験が必要です。平坦な公園や運動場と違い、山の斜面は急だったり、草や石が落ちていたり、ツルツルと滑る場所があったり、子供たちは自然の様々な条件の中で、自然とバランスの取り方を覚え、結果として今の子供たちよりも骨折の危険が高いような遊びをしていたにも係らず、骨折する子が少なかったのではないかと思っています。
山や野原で遊ぶことは、体のバランスのとり方以外にも子供に対して様々な効果があるのではないかと思っています。
携帯電話やゲームのように特定の機器から得られる安全に守られた部分的な刺激と異なり、山での遊びは常に危険と隣り合わせです。全身の五感をフルに活用して身を守りながら新たに得られる情報に対応していく必要があります。
そして、その中で出会う未知の生き物との遭遇、山遊びは子供の体と心の発達には欠かせないものだと思っています。
本来、人間は山や野を歩きまわり食糧を得ていました。そうした暮らしの中で人間は様々な能力を発達させてきたのではないかと思います。
特に、幼少期に山の中を歩くことは、体の発達とともに、自然や多くの命と係ることで生命の大切さなど人間として無くてはならない基本的な枠組みが形成されるのではないかと思っています。
もちろん、少子化の影響で近所に一緒に遊ぶ子供も無く、親も共働きで忙しいなど子供たちが伸び伸びと外で遊ぶのが難しい状況になってきていることは理解できます。しかし、今後の子供たちの未来のためにも積極的に子供たちが外で遊べるような環境整備を行う必要があるのではないかと思っています。
自然の伝道師
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